生態について

日本のシロアリで建築物を加害する主な種は、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリです。
関東地方ではヤマトシロアリが大部分を占め、湿気を好み光を嫌う性質の為、主に土壌中に巣を作ります。
ヤマトシロアリの巣は~3mにあり、地表の30cmを平行移動すると言われています。
乾燥に弱いため蟻道と呼ばれる土と唾液を混ぜ固めたトンネルを作り、巣と餌場となる床下を往来します。
ヤマトシロアリは水分を含んだ木材を食害しますので、床下の湿気が多い建物は被害が進行しやすくなります

巣が発達し個体数が増えると手狭になり、新たな巣場所を探す為に羽の生えたシロアリの大群が地上に出てきて飛行(群飛)します。
床下は見えない場所ですので、床から群飛が発生して被害に気付かれるケースが多く伺われます。数が少なければ外から偶然侵入してきたと考えられます。

ヤマトシロアリ4~5月の雨後で快晴となった温暖多湿の日の午前10~12時頃に群飛します
イエシロアリ6~7月上旬の温暖多湿な夕方に群飛する街灯や電灯に集まります
アメリカカンザイシロアリほぼ1年中不定期に群飛します

関東に多く生息するヤマトシロアリは春先に群飛します。
庭先で見かける黒アリが羽アリになるのも春先で時期が重なり、サイズと外見が似ていてややこしく、
一見すると判別が難しいのですが異なる特徴があります。
羽アリを撮影した写真をMailLINEで送信頂けましたら、弊社で判別・種の同定をいたします。

シロアリ黒アリ
触覚数珠状で直線形「く」の字状
前後の羽が、同じ形・大きさ前の羽が、後ろより大きい
胴体寸胴胸部と腹部にくびれがある
参照、出典:シロアリ及び腐朽防除施工の基礎知識、(社)日本しろあり対策協会

施工法について

  • 主流の防除施工法は、土壌木部バリア工法です
  • 床下で基礎土壌・床材に駆除予防薬剤を散布して、建屋内にシロアリをバリアする層を形成します
  • ヤマトシロアリは地中を通り建物に侵入するため、土壌処理が重要です
  • 床下材へ接する基礎や束石周りを重点的に土壌全体へ散布し、表面に薬剤のバリア層を形成します
  • 薬液原液を希釈した水溶液を、床下環境を悪化しないよう希釈倍率を調整して散布します
  • 吸水の少ないコンクリート基礎では水の蒸発に時間かかり床下環境の悪化を招きますので、濃度を高く調整して散布量を抑えます
  • 木材表面に薬剤を吹き付け、木材にバリア層を形成します
  • 腐朽・カビ防腐剤を添加された薬剤を使用した場合、カビ臭が長期間軽減されます
動力噴霧機
土壌処理
木部処理
  • バリア工法で使用する薬剤の効能は大きく以下の2通りに分類されます
    1. 非忌避性 × 遅効性 × 伝播」予防施工・駆除施工共に主流です
    2. 忌避性 × 即効性」予防施工に使用されることがあります
  • 基本的には、㈳しろあり対策協会の審査で認定された薬剤を用います
  • 認定薬剤は、人体への安全性効能が5年持続することが保証されています
  • 非忌避:シロアリが薬剤を避けずに接触します
  • 遅効性:薬剤に触れたシロアリは、すぐには殺虫されず巣へ戻ります
  • 伝播性:巣の中でお互いを舐め合い、他の白蟻へも防蟻成分が拡がり巣単位で駆除されます
  • 忌避性:シロアリが防蟻成分を避けるため、侵入自体が防止されます
  • 即効性:シロアリが薬剤に接触した直後に殺虫されます
  • バリア工法が出来ない場合は、ベイト(毒餌)工法が有効です
  • 脱皮と羽化を阻害して殺虫する昆虫成長制御剤のベイトステーションを建物外周に設置します
  • 伝播性のため巣全体の駆除効果があります
  • 床下に薬剤を散布しないことで、以下のメリット・デメリットがあります
  • お住まいの床下が狭く人が入れないお住まい、床下がないアパート・マンションに施工可能
  • 基礎断熱のお住まいに施工可能(床下に通風孔が無く外気と換気されないため、薬液を散布出来ません)
  • 化学物質過敏症の方や床下への薬剤散布に抵抗のある方
  • シロアリがベイト剤に食い付かないと効果が得られません
  • 予防には不向きです(駆除目的でもヒットするよう、蟻道や被害箇所からシロアリの経路を予想してベイト剤を設置します)
  • ベイト剤の管理維持が必要な為、コストは高くなります